アンニョンハセヨ。

5月ですね。

世間はゴールデンウィークですが、楽しい時間を過ごしている人もいれば、自然災害や事件事故に巻き込まれ大変苦労されている方もたくさんいます。

僕はいま、テレビを見る時間が多く、世の中では色んな事が起こっているのだとありありと感じています。

僕は先日膝の手術を受け病院のベッドの上にいます。

手術から1週間が経過し、自分の脚とは思えなかったような状態から少しずつ良くなっています。

まだ一人では歩けませんが、これからは日に日に良くなっていくだけなので、焦らず騒がずにしっかりとリハビリに専念していきます。

今回の怪我は先月の練習試合で負ってしまったのですが、診察結果を聞いたときにはさすがに心が折れそうになりました。

今シーズン中に復帰できるかどうかということだったので、チームの力になれないのであればフロントに話してチームを離れようとも思いました。

僕は今シーズンまで契約があるのでクラブは怪我で戦力にならない僕に給料を払わなければいけないし、トレーナーだって僕に何ヵ月も付きっきりになるし、チームメートも少なからず僕に気を使うと思ったからです。

診察室で僕はチームドクターにその旨を伝え、手術もしなくても良いですと伝えました。

家に帰り、妻にもそう伝えました。

妻は「後悔しない?手術して復帰を目指した方が良いんじゃない?」と言ってくれましたが、僕は「チームに迷惑かけたくないから良いよ。悔いはないよ」と答えました。

そして、僕は家の外に出て5歳年上のある先輩に電話しました。

その先輩は僕が高校を卒業してプロサッカー選手を目指していた浪人時代に、僕と一緒にいつもボールを蹴ってくれ、僕に「魂」というものを教えてくれた人でした。

当時、誰も僕がサッカー選手になれるなんて思ってもいなかった状況で、「ヨンハならプロになれる」と信じて支えてくれた師匠でもあり、恩人です。

いまでも僕のことを応援してくれていますし、オフシーズンには一緒にサッカーもしています。

僕はサッカーをやめるときはこの先輩にだけはまず報告しなければと思っていました。

先輩に「怪我をしてしまい復帰までに半年くらいかかりそうなのでチームに迷惑もかかるし、もうやめようと思っています」と声を絞り出して伝えました。

先輩は「ヨンハ、こんな終わり方絶対に後悔するよ」と言いました。

「プロになりたくてもなれなかったやつがたくさんいるのに、こんな終わり方しちゃだめだよ。こんな終わり方悔しいよ」

僕はどんなときも本気で話してくれる先輩の言葉に涙が溢れてきました。

それと同時に、プロになるために二人で必死にボールを蹴ってきたことを思い出して声も出なくなりました。

家の外で松葉杖をつきながら、チームに迷惑をかけるとか、悔いはないとか言いながら困難から逃げようとしていた自分が情けなくて涙が止まらず話すこともできなくなったので、後でかけ直しますと言って電話を切りました。

10分程その場にいたでしょうか。

ジャージ姿で松葉杖をつきながら泣いている30代男性を、周りの人たちはきっと不審に思ったでしょう。

しかし、僕はもう恥ずかしくも情けなくもありませんでした。

家に帰り妻に「やっぱり復帰目指して頑張るよ」と伝え、先輩にも電話して「最後の1試合でも、ラスト1プレーでもピッチに立ってチームに貢献できるように頑張ります!」と伝えました。

先輩が灯してくれた「魂」で、もう一度ピッチを目指したいと思います。