キタジとは僕が去年、柏レイソルに入団してから知り合った。
もともと有名な選手だったので、名前と顔は知っていた。
性格までは知らなかったので、こちらの勝手なイメージで、「俺が俺が」のフォワード向きの性格なのかなと思っていた。
ところが話してみると、とても柔和で周りへの気遣いも出来て、人間性を大切に考えている人だという事が分かった。
チームメイトからも慕われていて、僕もすぐにキタジの魅力に惹かれた。
だからといってプライベートでしょっちゅう食事に行ったりという訳ではなく、当時通訳をしていたファンファンと3人、同い年ということで、たまに食事に行くくらい。
僕はキタジとしょっちゅう食事に行かなくても、一緒にサッカーする時が何より楽しかった。
正確なボールコントロール、巧みなシュート、相手との駆け引きや味方の生かし方にも長けていた。
そしてどんな状況にも挫けない魂を持っていた。
サッカーの話もよくした。
僕からキタジに教えてあげられる事はなかったが、僕はキタジから色々と教えてもらった。
『チームメイトのプレーや、サッカーの試合を見て研究してる。使えると思ったプレーは練習で取り入れてやっているんだ。俺たち、まだまだ上手くなれるよ。』
キタジと話しているだけでサッカーが上手くなる気がした。
レイソルには若くて才能のある選手が多いが、キタジの背中を見て、その才能をまっすぐに伸ばせているんだと思う。
もっと一緒にサッカーをしたかったが、キタジは熊本に行くことになった。
日立台で行われた退団セレモニーを見て、キタジがどれほど愛されていたのかを痛感した。
熊本でもみんなから頼られ、愛される選手になってほしいと思う。
またいつか、一緒にサッカー出来る日を楽しみにしているよ。